歯科医師採用 コラム

【教えて!】求職者の心理

歯科医師・歯科衛生士の採用に苦戦されている医院も多いようですが、意外にすぐ採用が決まる案件もあります。もちろん求人票の内容もあるのですが、どんなに求人票を出していても応募がない案件と、すぐに採用できる案件の違いは何でしょうか?

求職者の心理をうまく掴める方法を考えましょう。

色々なサイトで求人票を出している

多数のサイトで求人票を公開している歯科医院はたくさんあります。もちろん、多くの求職者の目に触れることが大前提だという意見も一理あります。

ただ、一方で、求職者の方は「見飽きている」ため、スルーされる場合もあります。

求職者は医院が思う以上にネットで公開されている求人票をしっかり見られています。そのため、頻繁に求人票が出ている歯科医院についてはこのような印象をもたれています。

「あー、この医院はよく求人してますよね」

「ここ、しょっちゅう募集していますよね。人がすぐに辞めてしまうのかな」

このように、逆に不信感を抱かれているようです。

「前に求人票を見て連絡をしたら、もう募集していないと言われたことがあります。求人票が出ていても募集していないみたいですよ」

求人していても、していなくても求人票を出しっぱなしにしていると、このように思われている場合もあります。

どちらにしても、求人票を一度は見たことがあり、検討したこともあったのでしょう。しかし、それを通り越して、求職者は勝手に人が集まらない理由があるのではないかと考え、以降は、どれだけ目にしてもスルーするという状況に陥ります。

 

「匿名案件」の効果

「登録したら、匿名案件をご紹介します」と言った誘い文句で登録を促しているサイトをよく目にします。それだけ一般公開されていない求人情報を知りたがっている人が多いということです。

あまり求人票を出されていない歯科医院

求人情報を他者からも聞いたことが無い案件

をご提案すると、求職者の方は大変興味を持たれます。

情報過多の時代だけに、一般には出回っていない情報を新鮮に感じるのではないでしょうか。

「匿名案件」「求人票を公開していない案件」というのは、例えば、現在勤務されている人に求人情報を見られたくない場合が多いです。

・ 現在勤務している人よりお給料の提示が高い

・ 現在勤務している人を変えたい

・ 医院を売却したいが、勤務している人にはまだ知られたくない

など、何かしら「お得情報」が含まれている場合が多く、知りたいという気持ちに拍車をかけるのかもしれません。

 

仕事をしている人・していない人 

勤務状況で分類をすると、

1. 現在、仕事をしている

2. 仕事を退職したので、探している

3. 子育て中のため、仕事を中断している

の3つに分けられると考える方は多いでしょう。しかし、最近ではこのどれにも当てはまらない人がたくさんおられます。

「何か面白い案件があったら教えて下さい」と言われる方が良くおられるのですが、要するに「今仕事はしていないけれど、全力で仕事を探しているわけでもなく、面白い案件や、好条件の案件があれば仕事をしようかな」と思っておられる方がたくさんおられるということです。

 

「面白い案件」って?

では、「面白い案件」とはどういったものでしょうか?

どんなに求人をしていても採用できない医院がたくさんある中で、弊社がチラッと求人募集をインスタなどで上げたり、弊社に登録されている歯科医師・歯科衛生士に一斉メールを送ったら、多くの反応がある案件があります。

例えば、これまでの事例でご紹介すると・・・

・ 海外案件

・ 継承案件

・ 健診案件

・ 突拍子もない高額案件

・ 期間限定案件

・ これまで求人票を目にしたことのない案件

このような案件は多くの方が興味を持たれます。

海外案件

歯科医師も、歯科衛生士も口には出さないけれど、必死に探してはいないけれど、海外で働きたいとぼんやりでも思っている人は多いようです。そのため海外案件で募集をしたらかなりの確率で問い合わせの連絡が入ります。海外勤務となるとハードルはかなり高くなるので、色々な問題や時間を要するのではありますが、結局決まらなかった人も最後には「また海外案件があったら教えて下さい」と必ず言われます。

 

継承案件

歯科医院の継承案件は、継承を考えている歯科医師の先生や、分院展開を考えている医療法人の理事長は興味を持たれます。かなり魅力的だなと思う案件であれば、すぐに問い合わせが入ります。

ただ、院長が高齢のため継承したいという案件は医院も年代物になっており、最近では多数出ているため魅力的とはいえませんが、新しい歯科医院なのに、何か特別な事情があって売却を希望されていると言った案件は魅力的であり、金額にかかわらず、問い合わせが入ります。

・ 院長が病気・死亡のため医院を継承したい。

・ 分院を手放したい

・ 開業して数年だけど、何らかの事情があって継承したい

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健診案件

健診案件は大人気です。理由は、

・ 治療ではなく健診だけという業務内容に惹かれる

・ 単発バイトなので、行ける日だけで良い

・ 終了時間が早い

・ 勤務時間のわりに日給が高い

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高額案件

常勤(正社員)の場合の、高額案件というのは、必ずしも魅力的とは言えません。逆に不信感を抱かせる場合も多いようです。ただ、単発の高額案件で理由があるものに対しては、飛びついてくる人は多いようです。

例えば、体調不良で急遽休む歯科医師(衛生士)が出た場合の期間限定の代診などです。「急遽お願いしたいです」と言った場合でもお給料が通常と同じであればあまり魅力的とは言えないため、心を動かす人は少ないのですが、それが意外な高額であれば反応は非常によくなります。

 

期間限定案件

上記でも例に挙げましたが、期間限定というのも魅力があるようです。体調不良の代診といったように短い期間限定であれば「高額」が求められるのですが、ここでの期間限定というのは、産休の代診で1年間だけといった期間限定です。1年後に何かあるというわけではないのですが、期間限定なら少々の距離や時間も頑張れるということでしょうか。

 

これまで求人票などを目にしたことのない案件

一般的な募集であっても、これまで求人票を出したことが無い医院などは興味を持たれる方も多いです。弊社では求人票の公開はしていないため、こっそりと耳打ちするように、聞いたこともない歯科医院のご提案をすると、たいてい興味を持たれます。

 

求職者の心をくすぐるのは?

要するに、このような案件が求職者の心をくすぐっているのかもしれません。

・ 軽い気持ちで働ける

・ 休みやすい環境で働きたい

・ 効率よく働きたい

・ 自分しか知らない

 

実際にあった事例をご紹介

例えば、実際に私が担当した事例をご紹介しましょう。

【事例1】

健診センターから「月曜日~金曜日をドクター3名ほどで勤務してもらいたい」という案件を受けました。

同じ先生に、月曜日~金曜日を働いてもらうよりも、2~3名の先生でお願いしたいという理由は、もしお休みなどの希望が出た場合、複数の先生でシフト変更などをして助け合ってもらえるからという事でした。

【結果】

当初4名の女性ドクターで月曜日~金曜日までを勤務して頂く形で決まりました。弊社の方で、曜日の調整を行い、4名のドクターで勤務して頂く曜日を設定しました。グループLINEを利用して、1名のドクターがお子さんの学校行事で休みたいので、どなたかシフトを代わって頂けないですかとLINEで流し、他の先生が返答することによってお互いシフトの変更をして頂くというスタイルが成り立ちました。

1年後の契約更新の際に、1名のドクターが退職を希望され、3名体制で現在も勤務して下さっています。

責任を伴う治療ではなく、健診だから可能なスタイルなのかもしれませんが、当初より、複数の先生にお願いする理由を明確にお伝えしていたこともあり、またお互いにヘルプし合うという意識があるため、自分が休みの時に代わってもらったから、その先生がお休みの時は自分が代わってあげようという気持ちが起こるのかもしれません。

 

通常の非常勤(パート)で、月曜日が出勤日の場合、もし休みたいときは希望を医院側(院長)に伝えるだけです。医院側が必死になって代診を探すか、他の人に負担がかかるだけですが、このように、3名のドクターで月曜日~金曜日を埋めなくてはいけないという意識を持ってもらうのは、もしかしたら責任感や連帯感が生まれるのかもしれません。

 

【事例2】

ドクターが産休になるため来年の3月まで入ってくれる歯科医師と衛生士を探してほしいというご依頼がありました。それも2名体制だったため毎日ではなく、週2日程度の勤務を数ヶ月というご依頼でした。

【結果】

妊活中の女性ドクターが期間限定であればという事で勤務して頂ける事になりました。先生ご自身も妊活中だったこともあり、常勤や非常勤で勤務をすることは考えておられなかったのですが、「期間限定」であればという事で受けて頂けました。

また衛生士に関しても、少し家から遠い事を懸念していたのですが、取り合えず来年3月までなので、頑張ってみますと言われ勤務して頂きました。結果的には、4月からも日数を増やして勤務継続して頂くことになりました。「入口を軽く入りやすくする」というのは良いのかもしれません。

遠くてもこの距離なら大丈夫。これなら日数を増やしても大丈夫。スタッフさんも良い方ばかりなので働きやすい。などが分かれば継続する可能性は高いのかもしれません。

おそらくこの案件でも、期間限定でなければ「ちょっと遠いから・・・」と言われて、最初から勤務して頂けなかったと思います。

 

【事例3】

木曜日のみ訪問診療をして頂ける衛生士さんを探しています。駅に送迎するので、クリニックに来て頂く必要はありません。

といった内容でした。お給料的には平均的であり、期間限定でもありません。ただ駅に送迎してもらえる、クリニックで準備や片付けをする必要がないというのは一般的な募集内容よりも魅力があるかもしれません。

【結果】

すぐに衛生士さんが決まりました。ただ、木曜日も毎週ではなく隔週でも良ければという衛生士さんの希望がありました。院長にお伝えしたところ、今勤務されている衛生士さんがお子さんの都合などでお休みされることが多い事もあって募集したため、隔週でも構わないということでした。

逆に完全な隔週ではなく、この日を勤務して欲しいという日程を1年間分出されました。もちろん先の事はお子さんの学校行事などが重なる可能性もあるのですが、逆に1年間でこの日は仕事というスケジュールが決まっていれば空けておくことも可能になるので、ママさん衛生士さんであれば予定が立てやすいというメリットがあるのかもしれません。

この場合もまずは1年間でしたが、また翌年も早めにスケジュールを立てて打診しておけば、継続して勤務して頂ける可能性は高いと思います。

 

【事例4】

ドクターがコロナに罹ってしまい、10日間程度入って欲しいというご依頼でした。至急探しているという事もあり、日給も奮発して頂けました。

【結果】

短期間という事もあり、入って頂けるドクターが決まりました。特に女性ドクターなど、お仕事をされていない方もたくさんおられますので、急なお願いだとしても対応できる方は探せばおられます。知り合いの場合などはコロナという緊急事態で大変だろうから助けてあげたいという方もおられるでしょうが、知り合いでない場合は、そこまでのボランティア精神はあまり持たれていません。しかし今回の事例のポイントは日給がかなり高かったという事です。効率よく高額で働けるならば、予定を変更してでも対応しようと思われるようです。

このような形でも医院で働いてもらえば、医院の雰囲気や働きやすさなどを感じてもらえ、また何か必要な時にお願いしやすいかもしれません。結局正式な採用になる可能性も出てきます。

求職者の心理Q&A

求人票を出しても応募がないという場合、その原因は何でしょうか?

その理由は多岐にわたりますが、求人票が頻繁に出ている医院については、求職者が「人がすぐに辞めてしまうのではないか」といった不信感を抱くことが一因とされます。また、求人票を出しているが実際には募集していないという誤解を生むケースもあります。

求職者が興味を持つ求人票の特徴は何ですか?

一般に出回っていない情報や、「匿名案件」、過去に求人票を見たことがないような案件に対して求職者は大きな興味を示す傾向があります。具体的な事例としては海外案件、継承案件、高額案件、期間限定案件などがあります。

「匿名案件」とは何ですか?

“匿名案件”とは一般公開されていない求人情報のことを指します。これには現在勤務している人に求人情報を見られたくないなど、何かしら「お得情報」が含まれている場合が多いです。

求職者はどのような働き方を求めていますか?

「今仕事はしていないけれど、全力で仕事を探しているわけでもなく、面白い案件や、好条件の案件があれば仕事をしようかな」という働き方を求める求職者が多いです。

なぜ海外案件が求職者に人気なのですか?

海外で働くことには多くの魅力があり、多くの歯科医師や歯科衛生士がぼんやりとでも海外で働きたいと考えています。そのため、海外案件が公開されると、多くの問い合わせが寄せられる傾向にあります。

まとめ

 求人してもなかなか採用できないと言われる医院はたくさんあります。もちろん、中途半端な働き方ではなく、しっかり常勤で働いて欲しいという医院もあるかとは思いますが、求職者の方がどのような心理状況であるかという事を少しでもわかって頂けたら、何か求人の方法や働き方を変えるだけで、採用が出来るかもしれません。

「責任なく、とりあえずは期間限定で、軽い感覚で・・・」この形で仕事をスタートして頂けたら、細く長く働いて頂ける可能性もあるかもしれません。