歯科医師採用 コラム

【歯科医師に響く求人票】駅チカでない歯科医院はどうする?

「勤務時間」と同じく求職者が医院選びの際に大きなポイントとしているのは「立地」です。診療時間は変更することができますが、医院の立地だけはどうしても変えることが出来ないので、これは難しい問題です。集患だけを考えるのであれば、住宅地であってもいいのですが、スタッフを採用することを考えるとやはり駅チカの立地を選んで開業する方が良いかもしれません。しかしそれを言うと開業段階にまでさかのぼってしまうため、今どうすれば採用できるかを考えることにしましょう。

 

バス利用が必要な歯科医院

結論から言うと採用しにくいことは覚悟して頂きたいです。逆に院長先生が勤務医だったとしたら、電車に乗って、バスに乗って通勤するかという問題です。私ならバスには乗りたくないと言うと思います。歯科医院が全くないのであれば、バスに乗ってでも行くでしょうが、駅前にも一杯歯科医院が乱立しているのに、それを横目に見ながらバスに乗って通勤して下さいというのはハードルがかなり高いです。

 

車通勤可能

最近の若者に「車離れ現象」が起きていることはご存知だと思います。

車を持たない理由

 「維持費が高い」 49.3%

 「購入費用が高い」 38.3%

 「公共交通機関で十分」 25.0%

 「駐車場がない」 10.0%

 「カーシェア・レンタカーで十分」 7.0%

一般的にこのような統計が出ているようですが、私が求職者と面談をして聞いた内容では以下のような気持ちをお持ちのようです。

「免許は持っているけど、親の車なので、毎日は使えません。」

「ペーパードライバーです。」

「運転はしますが、運転すると疲れるので、日常の通勤には使いたくないです。」

「車の渋滞など時間が読めないので通勤には使いません」

「一人暮らしなので、車は持っていません」

比較的、院長先生は車通勤をされている方が多いので「勤務医も車通勤可能です」と軽く言われるのですが、勤務医で車通勤を希望される方は極めて少ないのが現状です。もちろん全くおられないわけではないので、車通勤を希望される方を探すしかないのですが、採用がしにくくなっている理由の一つである事は間違いないでしょう。

 

転居希望者を取り込む

私は求職者に提案する際、転居を伴っての転職希望者にはバス利用が必要な医院を積極的に勧めるようにしています。バスを利用しなくてはいけない歯科医院でもとても内容の良い歯科医院はたくさんあります。できれば皆さんにおススメしたいところですが、最初から「バスは乗りたくない」という人に敢えておススメしても却下される可能性の方が高いからです。もちろん他の要素も色々加味して医院の提案をするのですが、転居希望の方であれば通勤の事を考えることなく、本当に求職者にピッタリ合った医院を提案することができます。

ということで、バスを利用しなくてはいけないような立地の医院であれば、「転居費用や家賃補助」に力をいれて、そのあたりをアピールされてはいいのではないでしょうか?

 

代替えのメリットを提案する

「駅前にあるA医院」と「駅からバスに乗るB医院」が終業時間も、休みも、お給料も同じであれば、当然「駅前にあるA医院」に行きたいと思うでしょう。同じ土俵で戦って「採用できない」と悩んでも当たり前と言えます。求職者が「あ、それならバスでもいいか!」と思わせる代替えメリットを探してみましょう。

タクシー利用

ドクターは通勤に駅からタクシーを利用してもいいですよという医院もありました。かなり負担がかかるかもしれませんが、それもアピールにはなると思います。

終業時間が早い

「大阪市内からかなり離れているうえに、駅からバス。バスは30分に1本しか来ない」という立地にある歯科医院が求人をしているとご相談を受けたことがありました。車通勤が絶対か、近くに転居してもらうしか方法はなさそうなのですが、この歯科医院は「17:30に終わる」というメリットがありました。極端ではありますが、万一通勤に片道2時間かかったとしても17:30に終わって2時間の通勤で19:30に帰れます。駅チカの歯科医院が19:30に終わるとしたら、帰宅時間だけで見ると駅チカの歯科医院よりも早く帰れることになります。極端な例ではありますが、駅チカの歯科医院で働くよりも魅力的な部分があれば、検討してもらえる可能性は出てきます。ポイントは、「より良い」という事です。「同じ」であれば、駅チカを選ばれますので、駅チカよりも「より良い」部分を提示して頂けたらと思います。

 

お給料を高めに設定

一番手っ取り早いのは、駅チカの医院よりもお給料を高めに設定するという方法です。ただ、その場合は、高く設定している理由は「通勤が不便」ということをきっちり記載する方が良いと思います。求職者は平均よりも高いお給料の歯科医院に対しては喜んで飛びつくよりも警戒心を持ちます。「忙しいのではないか?」「ノルマがあるのではないか?」といったように考えます。「お給料がすごく高いけど、どうしてかな?あ~、駅から遠いんだ・・・パス!」となる可能性もあります。

通勤が不便ということでお給料を高めに設定していたはずで、求職者もそのことは最初は理解していても、月日が経つうちに、「お給料」と「バス通勤」は別物になってきます。私の個人意見としては、それであればお給料を高く設定するよりも、バス通勤を解消する「タクシー利用」という方が良いのではないかと思います。

その医院にしかない・・・

その医院にしかない内容があれば、バスに乗ってでも行きたいという人はいるかもしれません。ただ「症例数が多い」「インプラント症例が多い」「口腔外科の名医」といった内容では正直弱いと思います。そのような打ち出しをしている医院は駅チカでもたくさんあるからです。

私のこれまでの経験で、希少価値を感じて頂けたのは、

「障害者歯科に力を入れています」

という医院です。障害者歯科をやりたいドクターというのは決して多くありませんが、たまにおられます。そういう先生は、「障害者治療もやってみたいな」位の程度ではありません。深く「障害者治療をやりたいので、障害者治療に力を入れているところがいいです」と言われます。「障害者治療」をやっている歯科医院は決して多くありませんので、そういった診療内容を求めておられる方はバスに乗ってでも通勤されることでしょう。

また「口唇口蓋裂に特化している歯科」という医院もありました。基本的にはほとんどが大学病院での対応になるため、開業医ではかなり珍しいと言えます。少なくとも確実に興味を持たれる先生はおられ、そういったところを探されている方はおられます。そういった方は少々遠い場所であっても通勤されますので、もしそういったアピールポイントがあるのであれば、そのあたりを強く打ち出されればいいと思います。

どれも無理であれば・・・

私はいつもご提案する時に、このようにお伝えしています。

「バスと言っても、朝は同じ時間の決まったバスに乗ればいいし、帰りも、この時間のバスに乗るというように決まってしまえばそれほど負担ではないですよ」「バスの本数はかなり頻繁に出ているようですよ」

また、バス利用ではないのですが、多くの人が中心地に行きたがる傾向にある中で、反対に住宅地の方に出勤することになった女性の歯科医師はこのように言われました。

「私は、満員の通勤電車で出勤するよりも、座って本を読みながら行けるので、反対の電車に乗る方が好きです」

確かに、満員電車よりも朝ゆっくり座って出勤できるのは魅力ですよね。

ただ、求人票に「駅からバス10分」と書くのではなく、何かしら心を動かすような内容をプラスされてはいかがでしょうか?

 

求職者はどのくらいの時間であれば許容範囲なの?

歯科衛生士の場合は自宅から20分~30分と言われるのですが、歯科医師の場合は、1時間位は許容範囲のようです。15分電車にのって、15分バスに乗っても通勤時間は30分です。電車で30分はOKなのに、「バス」というだけで乗りなれない人は拒否するところがあります。そのあたりの塀を失くしてあげる言い回しを考えてみて下さい。

 

徒歩10分以上もNG

ずっとバスのお話をしてきましたが、徒歩の場合「10分以上」もNGの人が多いです。私はいつも面談で医院に行っているため自分の感覚を必ず伝えるようにしています。

「15分だけど、ずっと商店街の中を歩くので、雨に濡れないし、全然気にならない距離ですよ」

「15分だけど、道幅が広くて、ただまっすぐ歩くだけなので、全然OKですよ」

どうですか?何も言われずに「徒歩15分」と求人票に記載されていたら、「遠いからパス!」となりますが、もしこういった内容が書き添えられていたら、見方も変わるかもしれませんね。

 

まとめ

いかがでしたか? 医院の立地問題はかなり難しいのが正直なところです。

とはいえ、それなら駅からバスに乗って通わなければいけない歯科医院は採用が出来ないのかという事になってしまいます。決して簡単に採用できるわけではないかもしれませんが、アピールの仕方などを考えて打ち出すことをお勧めします。駅前の歯科医院と同じような求人票であれば比較されて駅前の歯科医院に取られてしまうでしょう。

しかし、転居して入職した人というのは、やはりそう簡単には退職しないというメリットもあります。便利な場所で、たくさん応募があって、どんどん採用は出来るけれども、どんどん退職していくという医院もあります。焦らずに求人してみて下さい。