歯科医師採用 コラム

【歯科医師に響く求人票】教育体制はしっかりアピール

「教育体制」は若いドクター(臨床研修明けドクター)がとても重要視されているポイントでもあります。昔のように、「背中を見て学ぶ」時代ではなく、最近の若者は受け身タイプが多いため医院の方が「どのように育ててあげるよ」という事をアピールしなければなかなか採用に漕ぎつけない時代と言えるでしょう。そこをご理解頂き、どのようなアピールをすれば若い求職者の心に響くかをお話し致します。

「教育カリキュラム」作成

臨床研修明けの若いドクターを採用したいとお考えであれば、「教育カリキュラム」は絶対作成されることをお勧めします。最近では多くの歯科医院が作成し、求職者に提示しています。同じ教育をしていたとしても、目に見える形で提示するのとしないのとでは、全然違います。

数年前までは、若いドクターに教えるという事はされていても、具体的なカリキュラムというのは作成されていない医院が多かったと思います。今でも少し年配の院長先生は「教えますよ」と一言で言われるのですが、今の若者たちは具体的にどのようなスケジュールで何を学べるのかという事を実際目にすることを望まれています。

カリキュラムを作成されていない医院に私が求職者と一緒に面接に行った時には、

「もし先生が入職した場合、具体的にどのような感じで仕事をスタートするのかお話しいただけますか?」

とお願いしています。要するに入職した日から自分はどのような感じで仕事を始めるのかイメージを描けるか、描けないかは採用に大きくかかわってきます。

「教育カリキュラム」とは

「教育カリキュラム」は、見学・治療アシスタントから始まって、だいたい3ヶ月でこういった事をして頂きます。6ヶ月目までにこういった事を習得して頂きます。といった具体的に習得する項目などを記載したものです。

例えば実際にこのような内容を提示されている歯科医院があります。

週1日〇曜日の夜に座学を受けてもらいます。翌日からはその座学で学んだ内容の治療を配当していきます。

慣れてきたら小児患者から配当していきます。

最初は〇分で治療枠を取りますが、〇ヶ月目からは〇分枠で治療が出来ることを目標にして下さい。

入職した日からどのくらいの期間、見学・治療アシスタントをすればいいのか、その後どのように教えてもらって、患者対応が出来るようになるのかといったイメージが湧くカリキュラムだと求職者も安心でき、目標に向かって進めるのではないでしょうか?

 

「キャリアパス」とは

「キャリアパス」は、例えば、1年目で保険治療、2年目で矯正やインプラント治療、3年目で難症例対応、4年目でマネージメント、5年目で分院長といった年単位の成長度合いを示すようなものです。

しかし、臨床研修明けの若い先生は、目の前の保険診療を出来るようになることが第一目標なので、年単位のキャリアパスを気にされる方は比較的少ないように思います。

 

「マウスピース矯正を学びたい」

「マウスピース矯正を学びたい」という女性ドクターは比較的多いです。そのため「マウスピース矯正」に関してどのくらいの段階で学べるのかを具体的に示されるのも良いかと思います。

 

「まずは保険診療が出来るようになるのが第一段階だとは思うけど、インプラントにも興味があるので、どの位でインプラントが出来るようになるのかを知りたい」

また、男性ドクターは、インプラントをやりたいという方もおられます。インプラントに強い歯科医院であれば、どの段階でインプラントアシスタントをして、どういった形でインプラントを習得していけるのかを示されるのも良いでしょう。

例えばインプラントの場合であれば、「入職後〇年で保険診療が出来るようになった方は、インプラント100時間コースを受けてもらい、その後、実際にインプラント患者を配当していきます。はじめは、院長にアシストしてもらいながらインプラントオペに慣れて頂きます。」といった医院もあります。単に「インプラントも学べます」といった記載と比較すると具体的で分かりやすくイメージがつきやすいです。

インプラントも学べる環境の医院であれば、具体的に学べる方法をアプローチすれば、インプラントを学びたい求職者には響くと思われます。

 

ドクターからの不満

新卒で入職したもののすぐに退職されるドクターもおられます。色々な理由がありますが、「教育体制」の視点から見ると以下のようなものがありました。

  • 「院長のアシストばかりで全然やらせてもらえない」
  • 「最初から40分枠でさせられ、来月からは30分枠と院長にいわれた。まだ自信がない」
  • 「ずっと衛生士業務ばかりさせられている」
  • 「あまり自費診療をしていない医院なので、ここでは自費診療が学べないと思った」

これらの不満はきっちりと「教育カリキュラム」「キャリアパス」が決まっていれば防げた退職かもしれません。

ドクターからの希望

他にも求職者から聞いた内容では以下のようなものがありました。

「マイクロを導入している医院がいい」

マイクロを導入されている医院であれば、是非記載されることをお勧めしますし、最近では数台ある医院も増えています。「マイクロ〇台あり」といったアピールや、具体的に勤務医が日常的にマイクロを活用しているのであれば、そういった具体的な内容を求人票などに記載されるとより強くアピールできると思います。

「担当医制」

最近では担当医制の医院が増えているようですが、あえて「担当医制の医院がいい」と希望される方もおられますので、求人票などには一応記載しておくことをお勧めします。

 

「ラバーダム」

これまでの経験から「ラバーダムを使用している医院」という希望をされた方も何人かおられました。「使用したければしてくれていいよ」というような医院も多いのですが、もしこだわって使用しているという医院であれば、それもアピールポイントになるかもしれません。

 

「セミナー補助」

この「セミナー補助」という文言は、新卒の若いドクターにはあまり刺さらないようです。保険治療が一通りできて、自費治療を学びたいというキャリアになってくると、この「セミナー補助」という文言は大きな力を発揮するようです。これを考えると経験ありの求職者を採用されたいのであれば「セミナー補助」を大きくアピールすればいいでしょうし、臨床研修明けの若いドクターを採用したいのであれば、「セミナー補助」はないよりはあった方が良いですが、それを大きく打ち出しても効果は半減かもしれません。

 

また「セミナー補助」と言っても最近ではそれほどアピール力は薄れてきています。「医院が勧めるセミナーの場合は全額補助」「半額補助」など条件つきで補助をしているところが多いので、「セミナー費用、全額医院負担」「セミナ―費用・宿泊費・旅費 すべて医院負担」などかなりお得感があるような内容であれば効果は高いと思われます。また具体的なセミナー名称を出すのもアリかもしれません。

 

「認定医」取得に有利

将来的に「歯周病認定医」を取得したいと言われたドクターもおられました。その場合、いくつかの症例を集める必要があったり、指導医の推薦が必要だったりします。もし取得に有利な医院であれば、それをアピールされることも効果はあると思います。もちろんこれも新卒ドクターには響かない内容ではありますが・・・

 

特別な診療科目や治療

「障害者歯科」などあまり対応していない診療科目などがある歯科医院は全面的にそれをアピールすると良いと思います。また「義歯の症例が多いところ」という希望を言われる方もおられます。中途半端に「多め」程度であれば微妙ですが、圧倒的に義歯症例が多いという医院であれば、それもアピールになると思います。また地域的に、口腔内が崩壊に近いような患者が多い歯科医院というのもあります。逆にそういった症例が好きだという方もおられますので、アピールポイントになるかもしれません。また喧嘩や子供の怪我など救急対応されているような歯科医院もあります。そういった対応が好きな口腔外科医もおられますので、響くかもしれません。

要するに100人の求職者がいた場合に、99人には響かない内容でも1人の求職者に強く響いたとしたら、1人の採用に繋がります。しかし、100人の求職者に響かせようとすると1000の歯科医院の中に紛れてしまって、結局一人の採用も出来なくなる可能性があります。

少数派ですが・・・

少数ではありますが、逆にこのように言われた求職者もおられました。

「みんなで足並み揃えて進んでいくというのがあまり好きではありません。なのでカリキュラムをみんなでこなしていくというようなスタイルは希望しません。逆に出来ることはどんどんトライしていけるような医院がいいです」

大変少数とは思いますが、このような方もおられます。「医院の教育カリキュラムは作らない」というこだわりを持たれている場合は、あえてそれを強みにするようなアピールをされるのも方法だと思います。また、「あなたのスキルや性格などをみてからオリジナルのカリキュラムを作っていきましょう」といったような、独自の習得カリキュラムを作るというのも響くかもしれません。

教育体制についてのQ&A

「教育体制」において若いドクターが重視されている理由は何ですか?

若いドクターは新しい技術や方法を学び、その知識を持って病院のクオリティを向上させる潜在能力があるからです。また、彼らは医院の長期的な成功に貢献する可能性があるため、教育と育成は重要です。

具体的な教育カリキュラムの作成が求職者に与える影響は何ですか?

具体的なカリキュラムは求職者にとって、自分がどのように成長し、何を学び、何を達成できるかを明確に示すものです。これにより、求職者は自分のキャリアパスをイメージしやすくなり、医院に対する信頼と安心感を持つことができます。

具体的なカリキュラムを持つ医院と持たない医院との採用成功率にはどのような違いがありますか?

具体的なカリキュラムを持つ医院は、求職者に対して明確な成長の道筋を示すことができるため、採用成功率が高くなる傾向にあります。一方、具体的なカリキュラムを持たない医院は、求職者が自分の役割や成長のビジョンを描くのが難しく、採用成功率が低下する可能性があります。

医院がドクターを引き付けるためにどのような要素をアピールするべきですか?

ドクターが求めるスキルや経験の取得可能性、教育体制の充実度、特定の治療領域の専門性など、医院の特色や強みを具体的にアピールすることが重要です。さらに、セミナー補助や特別な診療科目など、医院の独自の魅力を打ち出すことも効果的です。

キャリアパスの設定は新卒のドクターにとってはどの程度重要ですか?

新卒のドクターにとって、初期段階では基本的な保険診療を学び、スキルを習得することが最優先事項となります。そのため、早い段階では年単位のキャリアパスの重要性は比較的低いです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか? 医院様と面談をしてお話を伺っていると、「この部分をもっとアピールされればいいのに」と思う事は多々あります。おそらく院長先生が、求職者がどういった医院を求めておられるのか分らないから一般的な内容の求人票になっているのだと思います。多くの求職者と面談をしてきた経験で聞いた内容をまとめてみました。もし、「あれ、うちはこれをやってるよ!」という部分があれば、是非そこをアピールする求人票にされることをお勧めします。