歯科医師採用 コラム

【歯科医師を採用したい】若い歯科医師は何を求めているの?

よく院長先生から、「最近の歯科医師は何を求めているの?」と質問されることがあります。

・ 開業したけど増患のため歯科医師を増やしたい。

・ 分院を増やしたいので、任せられる歯科医師を採用したい。

・ 長年戦力として働いてくれていた歯科医師が開業することになった。

・ 女性歯科医師が産休に入ることになった。

「一人採用出来たと思ったら、また一人退職したいという」「新卒で入ってやっと一人で診療が出来るようになったと思ったら退職の申し出があった」などなど、院長先生の「採用に関する悩み」は尽きることがないようです。

「求職者が何を求めているか」を一言で言うのは大変難しいのですが、ここでは一般的な意見をまとめてみたいと思います。

 

歯科大学の現状

男女比率

まずは、最近の歯科大学についてお話をしましょう。以前は、歯科医師といえば男性というイメージがありましたが、今では女性の歯科医師も大変増えているのは、ご存知だと思います。

全国の届出「歯科医師数」は104,533人で、

「男」80,189人(総数の76.7%)、「女」24,344人(同23.3%)

となっています。               (厚生労働省 平成28年調査)

しかし、これは全世代での男女比であって、年代別に見て見ると全く変わってきます。

30代の歯科医師での男女比は「男性64%:女性36%」

20代の歯科医師での男女比は「男性54%:女性46%」

と圧倒的に女性歯科医師の割合が増えており、ほぼ半々の状況になっています。

現に、大阪大学(歯学部)の場合、164人の人数に対して、男性49.7% 女性50.3%と女性の割合の方が高くなっています。また大阪歯科大学でも男性6:女性4という割合と言われています。

ここ数年、圧倒的に女性の歯科医師が増えているという事がご理解頂けるでしょう。

親の職業

具体的な統計ではありませんが、多くの新卒(臨床研修明け)ドクターと話をしてきた体感だと、親の職業は「医師・歯科医師」が圧倒的に多いです。特に私学の大学に関してはほぼ間違いなく「医師・歯科医師」で、全く医療関係ではないという方ももちろんおられますが、高い学費の歯科大だけに親の職業もそれなりの職業なのだろうと推察されます。

国立の歯学部の先生でも親の職業は「医師・歯科医師」という方も多くおられます。もちろん私学の割合よりは低いですが、昔のように、国立大学の先生は「苦学生=働いて学費や生活費を作りながら勉強している学生」というイメージは最近では薄れている気がします。

歯科医師を目指された理由

ご面談した先生には「なぜ歯科医師になられたのですか?」とお伺いしています。やはりお父様が歯科医師だから必然的に歯科医師を目指したという方が圧倒的に多いのですが、もう一つ多いのは、言うまでもなく「本当は医学部を目指していたけどダメだったので」という理由です。要するに、「親は歯科とは全く関係ないけど、歯科医師にどうしてもなりたくて」という人はほとんどおられない気がします。

特に、現在の歯科大の半分を占める女性の中で心から歯科医師になりたかった人はおられないのではないでしょうか?若い女性ドクターが良く言われるのは「何か資格を持っていた方が良いのかなと思ったので」という回答が非常に多いです。これは歯科医師に限らず、歯科衛生士も同じ回答をされます。要するに今の日本の社会において若者たちは「手に職をつける」「資格を取っておく」という意識が非常に強いのでしょう。その中で高い教育を受けてきた人、頭の良い人がイメージする「資格」が「歯科医師国家資格」なのかもしれません。

如何でしょうか、ご理解いただけましたか?要するに歯科医師になりたくて、歯科大に行った人はそれ程多くは無いという事です。とはいえ、歯科大に進んだ以上、男性は歯科医師としての道を歩き出しますが、「資格取得」を目標にしていた女性はそもそも頭から歯科医師として働こうと心底思っているわけではないのかもしれません。もちろん苦労して取得した資格なので、知識やスキルを無駄にしたくはないものの毎日がむしゃらに働いて、立派な歯科医院を開業したいと思っている人はどれくらいおられるでしょうか。

 

歯科業界事情

今後の歯科業界はどのようになるのでしょうか?

国の方針により、歯科医師数が過剰にならないように調整されているのと、女性の活躍を期待されているようですが、私個人的にはぐっと勤務する歯科医師の人数は減ると考えています。

お話したように、半分が女性ドクターになっていますが、臨床研修明けの女性ドクターと話をしていると、まず4月から勤務でなくても良いと考えている方がおられます。1ヶ月ほどお休みをしてから、5月のGW明け位から働こうかなと「のんびりモード」です。

「大学に残る」という方も非常に多いです。大学に残って、研究をしながら、大学病院で勤務するというスタイルですが、もともと昔から勉強をすることに慣れておられる先生方は、勉強を苦とは感じておられません。そして大学病院では、患者さんからは「白衣を着た先生」と呼ばれますし、かなり早い時間に診療が終わります。大学病院から紹介されたバイト先は、かなりの高額なバイト料なので、良い事だらけです。

「大学院に進む」という方も多いです。日本には「苦学生」という言葉はほぼなくなっていますので、早く卒業して働いてお金を稼がなくてはという切迫感はそれほどないようです。将来のために大学院に進み、博士号を取る道を選ばれる方もおられます。

女性の場合は、臨床研修後、数年は勤務したものの、その後は非常勤として勤務される方も多いです。また治療があまり好きではないので、「健診バイト」や「ホワイトニング」の道を希望される方もおられます。

歯科医師の場合、6年の教育の後に1年の臨床研修があります。すべてストレートで進んだとしても一般よりは長くなりますし、浪人・留年・国試浪人などをすると、どうしても結婚・出産などの時期が気になる年齢になってしまいます。普通の仕事と違って勤務時間も遅くなってしまうため、なかなか常勤で働きづらくなってしまうので、非常勤の道を選ぶしかなくなってしまうようです。

といった状況のため、歯科医師の人数はほぼ横ばいを保ったとしても、実際に常勤として勤務する歯科医師の人数は激減するのではないかと私は考えています。その上、国は歯科医院の開業は調整していないため、相変わらずどんどん開業され、勤務医はどこにいるのかという状況になるのではないでしょうか?

 

今の若い歯科医師は何を求めているのか?

色々な先生がおられますので、みんながそうだという事ではありませんが、私が面談で若い先生に聞いたところによると以下のような点を気にされる方が多いのかなと思いました。(基本的に臨床研修明けの新卒歯科医師の場合です)

  • 終業時間
  • 医院の立地
  • 教育体制
  • 人間関係
  • 院長の性格

以上を気にされる人が多いように感じます。「教育体制」が1番のようではあるのですが、やはり「教育体制」以前に「終業時間」「医院の立地」でまずは絞り込まれるような気が私はしています。

(個々の詳細に関しては、別のコラムでより詳しくお話させて頂こうと思います)

あれ?「給与」が入っていないのではと思われる院長先生もおられるかもしれませんが、正直「給与」を気にされる方は非常に少ないのが現状です。とはいえ、少なくてもいいというわけではありませんが、平均であればいいという方が多いです。高すぎる給与を提示されている歯科医院に関しては、逆に警戒感を示されます。「忙しいのではないか?」「ノルマがあるのではないか?」といったように不信感の方が先に出てしまうようです。

それなら「給与」は低くていいのではという事になってしまうのですが、「給与は気にしません」と言っていた先生も最後の最後は給与の高い方を選ばれます。以上にあげた5項目がクリアされて、最後にA医院とB医院が候補に残り悩まれた場合、最後の決め手はお給料の高い方に軍配が上がるという感じです。

昔と今の違い

「自分たちの若い頃はこうだったけどな」と自分の若い頃と比較する院長先生も良くおられます。この考え方が頭をよぎる段階で採用を難しくしているかもしれません。

「診療が終わった後に深夜まで練習したもんだ」

「最初は教えてもらうんだからお給料なんて少ししかもらえなかった」

「少しでも早く高い給与が欲しくて、がんばったもんだ」

「当時の院長は何も教えてくれなかったので、自分からどんどん聞いたもんだ」

昔はそうでしたが、今は大きく変わっています!

「オンオフをとても大切にしています」

「お給料は平均であればいいと思っています(30万円以下はNG)」

「教育カリキュラムが整っていることが大前提」

若い歯科医師はここに注目している Q&A

歯科医師の男女比はどのように変化しているのですか?

現在、全国の歯科医師の男女比は、男性が76.7%、女性が23.3%です。しかし、年代別に見ると、30代では男性が64%、女性が36%となり、20代では男性が54%、女性が46%となっています。

歯科業界の将来はどのようになると考えられますか?

歯科医師数が過剰にならないように国が調整しているため、実際に常勤として働く歯科医師の数は減少する傾向があると考えられます。特に女性の場合、結婚や出産の時期が気になる年齢になるため、非常勤としての勤務を選ぶケースが多いです。また、歯科医院の開業規制がないため、開業数は増加し、勤務医が不足する状況が生じる可能性もあります。

若い歯科医師は何を求めているのですか?

若い歯科医師は終業時間、医院の立地、教育体制、人間関係、院長の性格などを重視しています。特に教育体制が重要な要素であり、給与については平均水準であれば問題視されることは少ないようです。ただし、最終的な選択肢においては給与の高さも考慮されることがあります。

なぜ院長先生の昔の経験が採用を難しくする可能性があるのでしょうか?

院長先生が自身の若い頃の経験を基準にしていると、現代の求職者のニーズに対応できないかもしれません。求職者の期待は時代とともに変化するため、理解し適応することが重要です。

求職者の心に響く求人票を作るためには、何を考慮するべきでしょうか?

求人票を作る際は、求職者が重視する要素、つまり、生活と仕事のバランス、適正な給与、そして充実した教育カリキュラムを考慮することが重要です。これらは現代の求職者が求める条件です。

 

まとめ

如何ですか?時代はどんどん変化していることをご理解頂けましたでしょうか?では次回からは一つづつもう少し詳しくお話していきたいと思います。求職者の気持ちがご理解頂けたら、求職者の心に響く求人票を作って頂けばよいのではないでしょうか?