歯科医師コラム

【歯科医師】医院選びで絶対に確認すべき7つのポイント 

医院選びは「運」ではなく 情報の質 で決まります。給与・歩合・設備… 色々情報は聞い聞いたように見えて、“本当に確認すべきポイント”が抜けていると、入職後に「こんなはずじゃなかった…」という後悔につながりかねません。

今回は、経験者の声をもとに、
若手歯科医師が医院選びで必ず確認すべき7つのポイント を整理しました。

 

① 教育体制・カリキュラムが存在するか

最初に確認すべきは 「教えてもらえるのか」ではなく「教える仕組みがあるか」

✔ 1〜3年目の教育スケジュール
✔ 症例レビューの頻度
✔ 先輩Drの指導時間の確保
✔ マニュアル・動画教材の有無

これらが“仕組み化”されている医院は、成長スピードが段違いです。

「忙しくて聞けない」「人によって言うことが違う」こうしたミスマッチは、教育の仕組みがない医院で起こります。

 質問例

1〜3年目の先生の教育スケジュールはどうなっていますか?

新しい処置を学ぶ際、どのようにトレーニングを進めますか?

症例のフィードバックはどのくらいの頻度で受けられますか?

1年目の先生の場合、1日の流れを教えてください。

先輩ドクターが忙しいときでも、質問しやすい仕組みはありますか?

 見抜けるポイント

教育が「人任せ」か、「仕組み化」されているか。「あ~教えるよ!」の一言ではなく、どのように教育の仕組み化がされているかで見抜くといいでしょう。

② 症例数・症例の幅が十分にあるか

どれだけ教育体制が良くても、
触れる症例が少なければ成長は止まる という現実があります。

✔ 根管・抜歯・補綴・義歯
✔ 小児・高齢者・全顎症例
✔ 自費症例(インレー、クラウン、矯正、インプラント)

症例経験は、将来の転職・年収・開業のすべてに直結します。

質問例

若手の先生は月に何症例くらい経験していますか?

根管・抜歯・補綴・義歯はどの程度経験できますか?

自費のクラウン・インレー・矯正は若手でも担当できますか?

患者層は小児が多い・高齢者が多いなど特徴はありますか?

症例の偏りはありませんか?

見抜けるポイント

  • 幅広く任せる文化がある医院は成長が早い

  • 院長だけが難症例をやる環境は経験が偏る

  • 若手に自費を回さない医院は市場価値が伸びにくい

  • 患者層が偏っている医院は技術の成長も偏る

経験の幅が広いほど、できる治療が増え、転職・年収・開業のすべてが有利になります。

だから医院選びでは “どれだけ症例を経験できるか” を必ず確認すべきです。

 ③ 歩合制度・給与体系の“計算方法”

歩合は 「率」ではなく「計算式」 が命。

  • 総売上ベースか?
  • 診療売上ベースか?
  • 開始ラインはいくらか?
  • 控除される経費は?
  • 最低保証(固定給)はあるか?

歩合25%でも、計算方法によって月収が5〜10万円変わる のは普通です。

質問例

歩合はドクターの治療分だけですか?

月の売上がどれくらいになると歩合に切り替わりますか?

歩合発生後の月収イメージを教えてください

 見抜けるポイント

歩合“率”ではなく、歩合“計算式”を確認するべき理由

医院選びでよくあるミスが、「歩合25%です」など“率”だけで判断してしまうこと です。

しかし、歩合制度は 数字よりも“どう計算されるか”のほうがはるかに重要 です。多くの医院は歩合率だけを提示しますが、実際には

・最低保証(固定給)があるのか

・総売上ベースか、診療売上ベースか

・歩合開始ラインはいくらなのか

これらを確認しないと、実際の手取りは大きく変わってしまいます。

歩合25%(と聞くと魅力的) 歩合率が18〜20%程度

・診療売上ベース(ドクターの売り上げのみ)

・開始ラインが高い

・固定給がない(最低保証がない)

→ 歩合がほとんど発生せず、月収が不安定になる可能性 があります。

・総売上ベース(衛生士のメンテなどもはいる)

・歩合開始ラインが低い

・最低保証あり

→ 若手でも安定して収入を伸ばしやすい のが実際です。

つまり確認すべきは“率”ではなく“仕組み”

率はあくまで表面的な数字。本当に見るべきは、「何を基準に、どこから歩合がつき、いくら保証されるのか」。これを確認することで、初めて「その医院でどれだけ稼げるか」「若手でも歩合が出るのか」が判断できます。

④ 自費率・自費導線が整っているか

自費がゼロに近い医院では、歩合も売上も伸びません。

✔ 自費率20%前後
✔ 画像・説明ツールなどのカウンセリング体制
✔ 院長の自費治療への意欲
✔ インプラントや矯正の導線があるか

若手にとっては「高すぎる自費率」も不要。
バランスが取れた医院がベストです。

質問例

自費率はどのくらいですか?

インプラントや矯正の説明は誰がして、どうやって導線を作っていますか?

若手でも自費治療を担当する機会がありますか?

自費治療の成約プロセスを教えてください。

見抜けるポイント

自費がゼロだと歩合も技術の幅も広がりません。

⑤ 人間関係・医院の“文化”

技術だけでは成長できません。医院の“空気”が悪いと、質問もできず技術も伸びません。

✔ 質問しやすい雰囲気
✔ 失敗を責めず改善に活かすスタイル
✔ 衛生士・助手との連携
✔ 忙しいときの助け合い
✔ 学びを歓迎する姿勢

この文化が合うかどうかで、3年後の成長幅は大きく変わります。

質問例

医院全体の雰囲気はどんな感じですか?

困ったことがあったとき、誰に相談できますか?

衛生士・助手さんとはどのように連携を取っていますか?

失敗があった場合は、どのように共有や改善をしていますか?

見抜けるポイント

「質問しづらい空気」がある医院は若手が伸びないので、こういった質問で見抜けるはずです。

⑥ 院長・先輩ドクターの“診療スタイル”が自分と合っているか

医院のトップの価値観は全体に強く反映されます。

✔ 診療のスピード
✔ 患者説明の丁寧さ
✔ 予防への考え方
✔ 自費・保険治療の比率
✔ 長期的な治療計画のこだわり

ここが合わないと、入職後に「これ違う…」となりやすい最大ポイント。院長の診療動画や見学時の症例説明を見ると一発でわかります。

 質問例

院長の治療方針・大切にしている価値観は何ですか?

初診から治療終了までの流れはどのようになっていますか?

見学の際に、実際の診療を拝見しても良いですか?

長期的な治療計画はどのように立てていますか?

見抜けるポイント

歯科医院は、小規模な組織であるほど 院長の価値観・診療スタイル・医院運営の方針が職場全体に強く反映されます。

そのため、若手の先生がどれだけ真面目に努力しても、院長の考え方と根本的に合わない場合、日々の診療に違和感やストレスを感じやすくなります。

例えば:

  • 院長はスピード重視だが、自分は丁寧に説明したい

  • 院長は自費治療に積極的でないが、自分は自費も学びたい

  • 院長は「見て覚えて」タイプだが、自分は質問しながら学びたい

  • 院長は短期的な治療方針が多いが、自分は長期的に診たい

こうした価値観のズレは、最初は「ちょっと違うな…」程度でも、

毎日の診療で積み重なると 働きづらさ・成長しづらさ・モチベーション低下 につながります。

逆に、院長の診療方針や価値観が自分と近い医院では、治療観がスムーズに理解でき、指導も腑に落ちやすく、ストレスが少ないまま大きく成長できます。

 ⑦ 予約管理・アポイント体制(診療のしやすさ)

意外と見落とされがちですが、若手にとって“診療のやりやすさ”はめちゃくちゃ重要です。

✔ 1人あたりのチェアタイムが十分か
✔ 無理な予約詰めがないか
✔ アシストの体制が整っているか
✔ 紙カルテ・電子カルテの使いやすさ
✔ アポイントが現実と合っているか

診療がしやすい=ミスが減る=成長が早いこれが医院選びにおける大きな本質です。

質問例

1枠のチェアタイムはどれくらいですか?

急患が入る仕組みはどうなっていますか?

アシストはつきますか? つかない時もありますか?

見抜けるポイント

若手にとって 「診療しやすい環境」=「最速で成長できる環境」と言えます。

診療しやすい環境とは無理なく集中して診療できる状態が整っている医院 のことです。

  • 予約が詰まりすぎていない

  • チェアタイムに適度なゆとりがある

  • アシストがしっかりつく

  • カルテやオペの動線がスムーズ

  • 器具や準備が分かりやすい位置にある

こうした環境では、焦らず正確に処置でき、治療の理解も深まりやすいため、技術の吸収が圧倒的に早く なります。逆に、予約がパンパンで常に急かされる環境だと、丁寧に学べず、ミスも増え、成長が遅くなりがちです。

医院選びで確認すべきポイント Q&A

なぜ教育体制は“教える仕組み”が重要なのですか?

教育が人任せの医院では、先輩の教え方がバラバラで成長が止まりやすくなります。カリキュラムやレビュー制度などの仕組みがある医院ほど、若手が安定して技術を積み上げられます。

症例の幅が広い医院が有利と言われる理由は?

経験できる症例が多いほど技術の幅が増え、3年後の市場価値が高まります。偏りのある医院だと転職や開業で不利になるため、若手のうちは幅広い症例に触れられる環境が理想です。

歩合制度で絶対に確認すべきポイントは何ですか?

歩合率よりも「計算式」が最重要です。総売上か診療売上か、開始ライン、最低保証の有無で月収が大きく変わります。率だけで判断すると、歩合がほぼ出ないケースも珍しくありません。

自費率はどの程度あれば若手にとって良い環境ですか?

若手には自費率20%前後が最もバランスが良いと言われます。自費が全くない医院では歩合も症例の幅も広がらず、逆に高すぎる環境は任せてもらいにくいので成長しづらくなります。

「診療しやすさ」がなぜ成長に直結するのですか?

診療しやすい環境は、焦らず正確に処置できるため技術の吸収が早くなります。予約詰めやアシスト不足の医院では丁寧に学べず、ミスも増え、成長スピードが大幅に落ちてしまいます。

まとめ

医院選びは「求人票の条件」ではなく、
この医院で3年後どう成長できるか” が最も大切です。7つのポイントを押さえれば医院選びで失敗しないでしょう。

絶対に確認すべき7つ

  • 教育体制
  • 症例数・症例の幅
  • 歩合制度の計算方式
  • 自費率・自費導線
  • 人間関係・医院の文化
  • 院長の診療スタイル
  • 予約管理・アポイント体制

質問こそが医院選びの最強の武器 医院選びの失敗は「聞かなかったこと」が原因です。 逆に言えば、上記の質問ができれば、 医院の教育力・成長環境・収入の実態がすべて見抜けます。

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