歯科医師コラム

病院歯科が人気の理由と実態

歯科医師の先生にとって「病院歯科」はとても魅力的な求人のようです。でもイメージだけが一人歩きしているような気がします。前回お話したように病院には2種類ある事をご理解頂き、頭の中を整理してみて下さい。

病院歯科・・・母体が「病院」で病院が標榜している「歯科・口腔外科」の事

病院歯科の分類と求人状況

1. 大学病院・急性期病院

2. 療養型病院

「病院」は大きく分けてこの2種類に分かれます。「病院歯科」の求人というだけで飛びつく方がおられますが、「病院歯科」の求人の中に、「1.大学病院・急性期病院」はほぼ100%含まれていません。「1.大学病院・急性期病院」の求人は医局を通して行われるため一般の求人募集にはあがってこないのが現実です。

となると、「病院歯科」の求人は「2.療養型病院」という事になります。

「療養型病院」の歯科医師の仕事内容

「療養型病院」は基本的に、高齢者の方の対応がほとんどとなります。一般的には、午前中は入院患者さんのお口のケアや治療のために、病室を回ることになり、午後からは、関連施設の訪問診療というスタイルが多いようです。

そのため、一般歯科で言う「訪問診療」に極めて似ており、訪問診療をイメージして頂けば良いかと思います。違いがあるとしたら、病院の方には、基本的に「居宅訪問」は無いようです。

 

病院歯科が人気の理由

冒頭で病院歯科が人気とお話をしましたが、ではなぜ人気なのでしょうか?これまで病院歯科の求人を希望された先生方にお話を伺うと以下のような理由から病院歯科の求人を探されているようでした。

・ 診療所では経験できない症例が経験出来る

・ 終業時間が早い

・ 土・日曜日が休み

・ 福利厚生がしっかりしている

・ 忙しくない

 

診療所では経験できない症例が経験出来る

この理由は、病院の2分類を大きく混同されています。これは特に「大学病院・急性期病院」の事と言えます。病院の役割の一つである「新しい治療法や難症例を研究する研究機関としての役割」に該当する部分と言えますが、すでにお話したように、「大学病院・急性期病院」の歯科医師は大学医局とのつながりがあり、その関係が無い限り、一般で募集されることはありません。

「療養型病院」では「診療所では経験できない症例が経験出来る」という理由は当てはまらないと言えるでしょう。

終業時間が早い

確かに、歯科医院と比較すると病院の終業時間は早いかもしれません。しかし、これは「歯科医院の外来」と「大学病院・急性期病院」を比較しているのではないでしょうか?

歯科医院の外来は19時~20時までありますが、「大学病院・急性期病院」の外来は、15時~16時には終わる所も多いようです。しかしながら、一般募集に出ているのは、「療養型病院」ですので、決して15時~16時に終わるというものではありません。

「歯科医院の訪問診療」も外来のように19時や20時までという事はありませんので、「歯科医院の訪問診療」も「療養型病院」も終業時間は17時~18時というところで大差ないと思います。

 

土・日曜日が休み

お休みに関しては、訪問診療であれば、比較的、土・日曜日がお休みところは多いです。施設の出入りは土曜日・日曜日が不可の所が多いからです。という事は「療養型病院」も「歯科医院の訪問診療」も同様と言えます。

 

福利厚生がしっかりしている

以前は歯科医院の規模は小さく、厚生年金などの加入がない所が多くありました。それと比較して、病院は規模が大きく福利厚生が充実しているので安心という印象があったようです。しかし今では歯科医院でもほとんどは厚生年金に加入していますし、社会保険は完備されていますので、病院と歯科医院の違いはありません。

 

忙しくない

「忙しくない」という表現の仕方は語弊がありますが、おそらくこれも「大学病院・急性期病院」と混同されていると思われます。「大学病院・急性期病院」の外来は紹介患者や難症例の患者が対象となりますので、一般の歯科医院と比較すれば患者数は比較できないほど少ないですし、1人にかけるチェアタイムも長いと言えます。

しかし、何度も言いますが、一般に募集される病院歯科は「療養型病院」なので、「歯科医院(訪問)」と何ら変わりが無いと言えるでしょう。

如何でしょうか? 多くの方が「病院歯科」を「大学病院・急性期病院」のイメージを持って捉えられている部分があるように思います。一般募集に出る「病院歯科」は基本的に「療養型病院」ですので、訪問診療と同じようなものだと思って頂く方がよいでしょう。

病院歯科のQ&A

「病院歯科」とは何を指すのですか?

「病院歯科」は、「病院」が主体であり、その病院が提供している「歯科・口腔外科」のサービスを指します。

「病院歯科」の求人はどのように分類されますか?

「病院」は大きく分けて、「大学病院・急性期病院」と「療養型病院」の2種類に分けられます。一般的な「病院歯科」の求人は、「療養型病院」が主となります。

「大学病院・急性期病院」の求人はどのように行われますか?

「大学病院・急性期病院」の求人は医局を通して行われ、一般の求人募集にはほとんど出てこないのが現状です。

「療養型病院」の歯科医師の主な仕事内容は何ですか?

「療養型病院」の歯科医師は、基本的に高齢者の方の対応が多く、午前中は入院患者さんのお口のケアや治療のために病室を回り、午後からは関連施設の訪問診療を行うのが一般的です。

病院歯科が人気の理由は何ですか?

病院歯科が人気の理由としては、診療所では経験できない症例が経験出来ること、終業時間が早いこと、土・日曜日が休みであること、福利厚生がしっかりしていること、そして忙しくないという点が挙げられます。

まとめ

病院歯科は大人気の求人ですが、一般的な「訪問診療」と変わりはないという事をご理解頂けましたでしょうか?「訪問診療」をやりたい先生であれば「療養型病院」でも「一般歯科の訪問診療」でも大差はないと思います。「訪問診療」には興味が無いけれど、病院歯科に勤務をしたいという方がおられます。それは「急性期病院」をイメージされているのかもしれませんが、「急性期病院」は大学医局の繋がりがありますので、一般募集はほぼされていないとご理解下さい。

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