歯科医師コラム

歯科医師 【教えて!】歩合給について徹底解説

歯科医師の先生はある程度の経験を積むと「歩合給」になることが多いです。一般的に「お給料」というと、固定のイメージが強く、「歩合給」の事をあまりご存知ではない方も多いので、ここでは「歯科医師の歩合給」についてお話を致します。

「固定給」と「歩合給」の違い

「固定給」とは、一定時間の勤務に対して一定額の賃金が支払われる給与体系で、それに対し「歩合給」とは、個人の業績・成果に応じて給与を支払う給与体系のことです。そもそも個人の業務が売上や成果に直結している場合でないと「歩合給」という給与形態にすることができません。歯科医師の場合、成果の対象となるのは、「保険診療の点数」「自費診療の金額」となります

給与体系の歴史

一般的な企業の話にはなりますが、昭和の時代、日本では、終身雇用制度という概念のもと、年功序列制が導入されていました。そのため、新卒で入社した社員の給料が社内で一番安く、勤続年数を重ねるごとに基本給が徐々に上がっていくといったシステムでした。

しかし、その後、経済成長低迷期に突入し企業も生き残る道を模索し始め、年俸制を導入したり歩合給や成果給などの欧米型賃金体系を導入する企業が増えてきました。年功序列による定期昇給を廃止する動きは、日本企業の場合は「賃金の上昇を抑えようとする傾向」と言われています。

「固定給」のメリット・デメリット

「固定給」のメリット

固定給の最大のメリットは「安定性」です。思うような成果を出せなかった場合や、月に祝日や長い休みがあった場合でも決まった基本給を得ることができます。さらに、給与額が固定とはいえ、残業代や夜勤など時間外労働時間や勤務時間帯に応じて割増賃金も発生します。

「固定給」のデメリット

デメリットとしては、「モチベーションの低下」があげられます。定期的に昇給の機会はありますが、大幅に給与額が上がることはなく、個人の能力や働きは給与額としてほとんど反映されません。

 

「歩合給」のメリット・デメリット

「歩合給」のメリット

・ 努力が収入に直結する

・ 短期間で収入アップを狙える

・ モチベーションが上がる

「歩合給」のデメリット

・ 収入が不安定になる

・ 精神的負担が大きい

 

歯科医師の「歩合給」

歩合率は歯科医院によって違いますが、比較的多いのは、「保険の歩合は20%」「自費の歩合は23~25%」あたりが多いと思います。

歩合のつけ方に決まりはなく、医院によって全く違うため、しっかり確認することをお勧めします。

固定給+歩合

・ 固定給40万円+歩合

  40万円+(保険診療の点数×〇%)+(自費治療の点数×〇%)=●●万円  

  のような計算になります。

「固定給+歩合」という場合は、単純に「固定給」にプラス歩合分が追加されます。そのため、「固定給」の金額より下回ることは無いという事になります。ただ、治療をすれば当然、歩合がつくというものなので、「固定給」は比較的低い金額に抑えられていることが多いです。一見、固定給だけを見て、「これだけ???」と思ってしまうかもしれませんが、自分の頑張りでお給料を引き上げることが出来るのがメリットと言えるでしょう。

歩合(最低保障)

・ 歩合給(最低保障40万円)

 (保険診療の点数×〇%)+(自費治療の点数×〇%)=●●万円

  ただ、●●万円が最低保障の40万円より下回る場合は、40万円は最低保障さ

  れます。

「歩合給」ではあるものの、最低保障がついている場合も多いです。歩合給だけで計算した場合の金額がお給料となりますが、その金額が例えば39万円となり、最低保障の40万円にならなかった場合は、最低保障の40万円は保障しますというものです。

最低保障に歩合がプラスされるのではありません。どちらか数字が高い方という事です。

このスタイルを取られている歯科医院は多いと思います。次でお話する「完全歩合」よりは少し気分的に落ち着けるのがメリットだと思います。

完全歩合

・ 完全歩合

 (保険診療の点数×〇%)+(自費治療の点数×〇%)=●●万円

「完全歩合」というのは、あまり聞かないのですが、院長クラスになるとこういう場合もあります。最低保障がなく、「歩合」だけで勝負するとなるとかなりプレッシャーもかかります。自信のある方にはお勧めしますが、家族を養っている方であればせめて「最低保障」はキープしておく方が良いかもしれません。

 

保険点数・自費金額

そもそも上記の話が今一つピンとこないという方は、ご自身が上げておられる保険点数や自費金額を把握しておられないからです。レセコンで集計も出来るはずですが、お給料明細に記載されているかもしれません。もし記載されていなければ院長に確認してみられては如何でしょうか?

自分の売り上げが上がっていないのに、昇給を希望しても却下されるでしょうし、逆にこれで計算をしてみて、今のお給料が低いと思われる方は、転職もアリかもしれません。

キャリアが上がると、転職の際に、直近3カ月程度の自分のあげた「保険点数・自費金額」を提示されます。これが一番年俸交渉には効果的だといえるでしょう。

「歩合」の支払い方に要注意!

売上を、当月のお給料に反映

売上を当月のお給料に反映するのは、お給料の締め日などの都合上難しい場合があります。

売上を、次月のお給料に反映

直近で反映されるとなると、次月という事になるかと思います。歩合の金額が月によってそれほどブレないようであれば、ある程度これでお給料の安定は計れると思います。

半年分をまとめて賞与月に支払い

夏と冬の一般的な賞与月に半年分の歩合を支払うという歯科医院も良くあります。年俸で見ればどの支払い方でもトータルの金額は同じですが、この支払い方の場合は要注意です。そもそもの基本給がある程度生活をしていくだけの金額であれば、大丈夫です。逆に「歩合」分は賞与のような気分で頂けるのですが、たまに月々の基本給はかなり抑えられている場合があります。その場合は、半年に一回の歩合給をうまく月々に分配する必要もありますし、転職してすぐの場合は厳しい状態になります。

例えば、ご家族を扶養されていて、これまでのお給料が80万でした。転職をしたところ、「基本給50万円+歩合」という事になりました。軽く80万円は超えますよといわれ、お給料アップだと喜んでいたところ、歩合分は半年に1回まとめて支払いますとのことでした。転職してから次の歩合支払い月までは、月給50万円です。ご家族がおられるとこれはかなり厳しい状態となります。

 

歩合給の落とし穴

最後に「歩合給の落とし穴」の話をしておきます。「歩合給なので、先生の頑張りを反映します」と言われたものの、そもそもそれほど患者さんが来られないという歯科医院があります。営業ではないのでいくら頑張りと言われても、患者さんを呼び込むことは出来ません。ただ、歩合給の部分は全く見えないため難しい面もあります。

患者さんがどのくらい来られているのか、またドクターが何人いるのかによっても左右されます。最近では「歩合給」の対応をしているところも多いためそれほど心配はないと思いますが、ドクターの採用に困っているような医院であれば少し注意をしてみて下さい。

「歩合です」と言われるものの、歩合何%なのかを提示してくれない場合は質問してみるといいでしょう。

歩合給について Q&A

歩合給とはどのような給与体系ですか?

歩合給とは、個人の業績や成果に応じて給与を支払う給与体系であり、歯科医師の場合は保険診療の点数や自費診療の金額に基づいて計算されます。

歩合給と固定給の違いは何ですか?

固定給は一定時間の勤務に対して一定額の賃金が支払われる給与体系ですが、歩合給は個人の業績や成果に応じて給与が支払われる点が異なります。

歩合給のメリットは何ですか?

歩合給のメリットは、努力が収入に直結し、短期間で収入を増やすことができる点や、モチベーションが高まることです。

歩合給のデメリットは何ですか?

歩合給のデメリットは、収入が不安定になることや、精神的な負担が大きくなる可能性があることです。

歯科医師の歩合率はどのくらいですか?

歯科医院によって歩合率は異なりますが、一般的には保険の歩合が20%程度であり、自費の歩合が23~25%程度の範囲が多いです。

まとめ

いかがでしたか? 「歩合」って今一つわからないんですと言われる若い先生は多いです。少しはご理解頂けましたでしょうか? お給料の事がスッキリしないと嫌だけど、一番聞きにくい事ですよね。お給料の事で聞きにくいことはコンサルタントに相談してみましょう。

 

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