歯科医師コラム

歯科医師 【5分でわかる】 歯科開業の「デメリット」と「向かない歯科医師」

歯科医師の方であれば一度は「開業」を考えられたことがあるのではないでしょうか? 歯科医師になったからには開業したいと思っておられる先生も多いと思いますが、人には向き・不向きがあるため、誰もが開業して成功するわけではありません。資金面でのリスクに関して書かれたコンテンツはありますが、それ以外にも歯科開業のデメリットはたくさんあります。

開業のデメリット

1. 高額な借り入れが発生する。

2. 集患対策が重要になる。

3. 常に新しい機器を導入する必要がある。

4. 経営やスタッフ管理をしなくてはいけない。

5. スタッフ採用の対応をしなくてはいけない。

6. 自分の休みが取りにくくなる。

7. 場合によっては自分自身の給与が勤務医時代よりも下がる可能性もある。

8. スタッフの不祥事もすべて自分の責任になる。

スタッフ採用の難しさ

ここでは、「スタッフ採用の悩み」についてお話したいと思います。

開業当初のスタッフというと、歯科衛生士・歯科助手・受付の3職種が考えられます。オープニングスタッフとなると比較的応募が多く、たくさんの応募者の面接に明け暮れる事でしょう。

女性スタッフの希望

以下に多くの女性スタッフが希望することを挙げてみました。

・ 17時位までの時短勤務希望

・ 扶養控除範囲内で働きたい

・ 週2日程度で働きたい

・ 土日は休みたい

・ 祝日の振替診療がない医院を希望

・ 社会保険完備希望

・ 有給休暇がしっかりとれるところ希望

・ 残業は最低限を希望

・ 滅菌対策がしっかりしている医院を希望

・ 院内の雰囲気が良いところがいい

院長と女性スタッフの温度感

開業時の院長は当然「やる気」「不安」が一杯のはずです。

「患者さんはたくさん来てくれるだろうか?」という心配

「患者さんから信頼される歯科医院になるぞ!」とういうやる気

「院長としてスタッフをまとめていくぞ!」という責任感

 

ですが、意外と女性スタッフはそれほどのテンションではありません。

「自分自身が働きやすいところ」という事が大きなポイントになります。

本来なら、正社員のスタッフを雇用してチーム力を高めたいところですが、面接に来る人はほとんどが「パート希望」。ジレンマに陥るかもしれません。

「患者集め」と「スタッフ集め」は比例しない

比較的、地域の医療に貢献したいという気持ちから患者さんが来やすい場所、来そうな場所を選んで開業する院長がほとんどですが、「患者集め」と「スタッフ集め」は比例しないのが難しいところです。患者さんはたくさん来てくれるのに、スタッフがいくら募集しても集まらないという悩みをお持ちの方はたくさんおられます。衛生士がいればもっと患者さんを受け入れて売り上げもアップするのにとイライラが募る一方です。

特に難しいのは駅からバスを利用する場所に開業した場合です。地域にもよりますが、女性が足のように車を活用しているという人はかなり限られてきます。となると、バスに乗って勤務先に行こうという人は激減してしまいます。

たまに車で行きたいという女性スタッフもおられるのですが、今度は、患者さんのパーキング確保はしているものの、スタッフ用のパーキングは確保していないというケースもあります。ドクターの車通勤はOKだけど、スタッフの車通勤は認めていないという歯科医院もあり、車利用不可となると徒歩圏内・自転車圏内というようにターゲットがかなり狭くなってしまいます。

女性スタッフは通勤時間20分~30分で探している人が多いため、歯科医院の周辺に住む主婦層へのアプローチとなってきます。

主婦層をスタッフのターゲットにした場合

近所の主婦層をスタッフとして雇おうと思った場合、20代~30代は子育て中の人が対象になります。40代となると子育てもだいぶん落ち着くのですが、とはいえ学校行事の参加はまだまだあります。50代となると今度は親の介護という人が増えてきます。そもそも、50代となると院長よりも年上のスタッフという事になります。

主婦層は夕食の支度もありますし、子供の用事もあるため、

・時短勤務

・週数日のパート勤務

・扶養控除範囲内の勤務

・土日休み

という希望が出てきます。

院長の思うように診療時間を設定できない

開院当初の院長は正義感とやる気に満ち溢れ、患者さんの事ともちろん売り上げの事も考えて、20時まで診療したいと考えます。当然朝は9時から、夜は20時までというのが多くの院長が開院当初考えることです。

しかし、開業当初は20時まで診療していた医院も年月とともに終了時間を早める現象が起きています。それは院長の熱意が冷めてきたからではありません。「スタッフが採用できないから」です。

女性スタッフは「20時終了」を極端に嫌う事を覚えておいて下さい。

「1日8時間・週40時間」と言えども・・・

「1日8時間、週40時間」と言えども、女性スタッフが嫌う事があります。

「昼休憩が長い」

 最近では、歯科医院でも昼休憩が短くなってきていますが、一昔前は昼休憩3時間という医院も多くありました。

午前中は高齢の患者さんが多く、夕方から夜には、学校終わりの子供さんや会社帰りのお父さんが来られるため、間の抜ける時間を昼休憩にして、夜20時までしたいというのは院長の当然の考え方です。

「9時~20時 休憩3時間」 これで1日8時間勤務となります。

家が近くて、この3時間で夕食を作りに帰るという人には良いのですが、それができない人にとっては、拘束時間が11時間になってしまいます。

主婦や子育て中の方であれば、20時までというのはほぼ不可能でしょう。本来一番働いて収入をゲットしたい時間が歯科医院では休憩時間になるのですから、違う職場を選んでしまうのもやむおえないところです。

昼食後、昼寝でもして、午後の診療をスッキリ迎えたい院長と、昼休憩なんて食事する最低限の時間でいいので、その分早く帰りたいというスタッフの考え方とはズレが生じています。

「午後診休み」+「午後診休み」=「1日休み」

こちらの診療形態も最近は減少しているようですが、木曜日と土曜日の午後診はお休みという歯科医院が今でもあります。これも院長が患者さんの事を想っての事ではあるのですが、働く女性スタッフにとっては嫌がられます。勤務時間だけで言えば「週40時間」になるかもしれませんが、丸一日の完全なお休みは「日曜日だけ」というのはやはり厳しいでしょう。

どちらのパターンも減少しているのは、すべてスタッフ採用が出来ないからです。もしどうしても診療時間を変えたくないというのであれば、診療時間、曜日とスタッフの休みは別と考えてシフト制で考える必要が出てくるでしょう。

土曜日休みはありえない

オフィス街の歯科医院でない限り、土曜日を休診日にする歯科医院はありません。しかしながら、土日休みを希望する女性スタッフは多いです。「ご主人や子供の休みが土日だから」理由はこれだけです。これは変えられない事実であり、だから休みたいというのもごもっともな話です。「本当は正社員で働きたいけど、どうしても土日を休みにしたいので、それであれば月~金のパートで」という方もおられます。

いやいや、歯科医院で土曜日休診はありえないから、そこは頑張って出て来てほしいとスタッフに求めても、無理な人は無理なのです。これがダメなら「不採用」と言っていたら、ますますスタッフ採用が困難になってくるでしょう。だからと言って休診日にはできないので何とかシフト制にするとか方法を考えるしかないでしょう。

祝日の振替出勤もダメなの?

 院長としては、医院経営も考えなくてはいけないため、1日でも多く診療したいのが本音でしょう。しかし最近は「祝日の振替診療がない医院」を希望される人が増えています。

祝日の振替出勤というのは、たとえば「月曜日が祝日の場合、その週の木曜日(本来休診日)は診療します」という診療形態のことです。

医院では、これまでこうした形態が普通のようになっており、年間20日ほどある祝日分が取れないというのが現状でした。しかし最近では、「祝日はお休みで祝日の振替診療もありません」というスタイルで休日を多くすることによってスタッフを獲得しようとする医院が増えてきています。そういった医院が増えだすと、女性スタッフは「祝日の振替診療がない医院がいいです」という流れになってきます。おそらく近い将来それが主流になっていくことでしょう。

こんなに休んでばかりいたら、医院経営が厳しくなると院長は頭を抱え込みたいところでしょう。

人がいないのに有給休暇?

 有給休暇に関しては、確実に取得できるように国が推奨していることもあって、「有給休暇はありません」という事は言えないのですが、実態はまだまだ難しい医院もあることでしょう。

特に開業当初は最低限の人数でスタートしているため、一人でも有給休暇を取得するとなると、周りのスタッフに迷惑をかける状態になってしまいます。しいては「自由に取れない」というイメージに繋がります。

スタッフの人数を考えたら自由に取得できるかどうかというのは自ずとわかるため、人数の少ない歯科医院は敬遠されることもあります。そういう意味で、有給休暇を自由に取得できるような体制を考える必要があるでしょう。

滅菌対策は念入りに

特に、衛生士は「滅菌対策」を大変重要視しています。院長は少しでも経費削減したいところですが、ここは絶対譲れないところだと思います。スタッフの家族が通いたいと思う歯科医院を作ることが一番大切です。

滅菌対策が万全でないと、退職したスタッフは近所の人に言う可能性もあります。ちょっとしたことが経営の根底を覆す問題になる可能性もあるのです。

一番のポイントは院内の雰囲気

スタッフが勤務したい歯科医院かどうかは、「院内の雰囲気」です。院長のパワハラはもってのほかですが、それ以外に、女性スタッフ同士の仲が良いかどうかは大きなポイントとなります。とはいえ、院長の前では悪い雰囲気など見せないため、分かりづらいものがありますが、「知らない」ではすまされません。「なぜかスタッフが次から次へと辞めていくな~」と思ったら、女性同士の関係を疑った方がいいでしょう。

仕事は完璧にこなしてくれるけれども、気がきつい女性が一人いるだけで、院内の雰囲気は悪くなり、他のスタッフの退職という結果を招いてしまう事もあります。

同年代の女性たちを集める方が働きやすいようにも思えるのですが、同年代の若いスタッフを集めるのはリスクもあります。例えば20代の女性スタッフばかり集めた場合、数年後に一斉に、結婚・妊娠の波がやってきて、一斉退職ということが考えられます。それを避けるために年代ごとにスタッフをそろえていると言われた院長先生もおられました。

資金よりも技術よりも難しい人間関係

如何でしょう?

勤務医として何年も働いてきたし、治療に関しての不安もない、資金調達も出来たし、いよいよ、開業!多くの歯科医師の先生はそう思って、開業を目指されているのでしょうが、必ず「スタッフ採用」でぶち当たる壁があります。

何とかオープニングスタッフを集められたとしても、研修期間中に退職する人もいるのが現状です。これからずっと隣り合わせにあるのは「人間関係・スタッフ採用」と言っても過言ではないでしょう。

そしてタイトルにもあるように「開業に向かない歯科医師」というのが、この人間関係がうまくできない人なのです。働けば資金は貯められます、研鑽すれば治療スキルもアップします、しかし、この人間関係というのは大変難しく、学んで身につけられるものではないのです。

歯科医院は一人ではできないことを肝に銘じておくことをお勧めします。

人間関係が得意でないから開業しようと思われる方がおられます。周りの歯科医師やスタッフたちとどうも合わないから自分で歯科医院を開業しようと考えるのは間違いです。開業したら、歯科衛生士・歯科助手・受付をまとめていかなくてはいけないのです。特に女性スタッフというのは、男性とも違いますし、歯科医師でもないので、リーダーとして引っ張っていくのは大変難しく、不得意な人も多いはずです。

歯科開業「デメリット」と「向かない歯科医師」Q&A

開業するにはどれくらいの借り入れが必要になるのですか?

開業には様々な要素がありますが、一般的には高額な借り入れが必要となります。具体的な金額は地域や設備などの条件によって異なりますが、数千万円以上の借り入れが発生することも珍しくありません。

開業した場合、集患対策とはどのようなことを考える必要がありますか?

開業した場合、患者を集めるための施策が重要になります。広告や宣伝活動、地域の人々とのコミュニケーションなど、様々な方法を活用して患者を呼び込む必要があります。

歯科開業では常に新しい機器を導入する必要があるのですか?

歯科医療の技術や機器は常に進化していますので、開業した場合には新しい機器の導入が求められます。患者に最新の治療を提供するためにも、技術と設備のアップデートは重要です。

スタッフ採用の対応とは具体的にどのようなことをする必要がありますか?

スタッフ採用には求人広告の出稿、面接の実施、選考、採用後の教育などが含まれます。適切なスタッフを採用し、チームとして働くための環境を整える必要があります。

開業した場合、給与が勤務医時代より下がる可能性があるのはなぜですか?

開業医としては収入の面でも成功を目指しますが、開業初期は設備投資や経費の負担が重く、給与が勤務医時代よりも下がる可能性もあります。しかし、経営が安定し患者数が増えれば、収入も増加することが期待できます。

まとめ

「開業のデメリット」の中でも特に「スタッフ採用」に関してお話をしました。勤務医であればこれらの事は全く気にする必要はなく、ただ、自分の治療スキルに集中することができます。

・ 何よりも臨床が好き

・ 人間関係や人をまとめるのが得意ではない

そう思うのであれば、「開業に向かない歯科医師」です。決して開業しなくてはならないわけでもなく、開業することが一番でもないので、本当に自分に向いているのかを見極めることをお勧めします。

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